最強の交渉術をご紹介します1

仕事柄、交渉をすることが多いのですが、その際、よく参考にしている本がこちらです。

『最後に思わずYESと言わせる最強の交渉術』橋本徹(日本文芸社)

あの橋本弁護士が茶髪でテレビに出ていた頃に書かれた本です。画像の帯をみてください!ギラギラしてますね!
現在は、絶版となっており、古本屋とかでしか手に入らないです。

だいぶ昔の本ではありますが、実務で多くの交渉経験を積んで久しぶりに読み返したら、今でも全然通用すると思いました。
また、この本は、単に交渉術が学べるだけではなく「何がなんでもやりきる」という強めのマインドセットも得られます。今後の人生のあらゆる場面で使える技術です!

今回から5回に渡り、実戦で役立ったものについてご紹介していきます。

目次

第1回「脅し」と「利益」 絶対負けない「かけひき」術

第1回目は、交渉術の根幹の考え方を中心に解説していきます。

人を動かす三つの法則…利益を与える

この本ではまず、人を動かすには以下の三通りしかないと言っています。それは、

・合法的に脅す
・利益を与える
・ひたすらお願いする


です。

この中で最も有効なのが、「利益を与える」ことだと言っています。
ここでいう利益は二つあります。
一つは、文字どおりの「相手方の利益」、もう一つは、「実在しない利益」です。
このうち、実際の交渉の場では、後者の「実在しない利益」を強調して、相手を動かすのが重要と言っています。

具体的には、「今回の交渉で私たちの主張にのってもらえなければ、これだけのデメリットがありますよ」ということを伝えることです。

交渉術の根幹は「交渉の過程でこちらにとって経済的な損失を伴わないものの、相手方にとっては得になることを創り出す。その上で、それをあたかも無理に無理を重ねた譲歩であるかのように相手方に差し出す」ということに尽きます。

最初の接触で勝負が決まる

ファーストコンタクトは重要です。ていねいな対応、気遣いの挨拶で相手の機先を制し、沈静化を伺いましょう。
特に挨拶。拗れた案件であればあるほど、こちら側はあくまで丁寧に対応しましょう。
ファーストコンタクトの一番の目的は、相手に喋らせて不満の本質をつかむことです。

力関係が決まる初対面の戦いは受けて立て

恫喝系、強面系の相手と交渉する時は、初対面で今後の交渉の流れが決まりがちです。
恫喝されたらそれ以上の声量で言い返せるよう事前に準備しておきましょう。

交渉に勝つ「聞く技術」

相手の言葉を自分の言葉に置き換えながら聞くことで、相手の主張の本質が見えます。
交渉は二者択一。グレーゾーンを残さないようにしましょう。交渉で使う言葉は、常に具体性・個別性・限定性の中に落とし込んでいきましょう。
具体的には、相手の話を一まとまりごとに、要約するなり、相手に問いかけるなりして、自分の言葉に置き換えます。
相手方の話を自分の言葉に置き換えることは、自分の理解度をはかる指標にもなります。
ここでは決して妥協しないようにしましょう。
こういった「聞く」作業を通して、相手方の不満や主張の本質を見抜くことが、スタート段階では一番大切です。

相手の主張はすべて二種類に分類する

次に、相手の要求を、絶対譲歩しないもの(主張)譲歩可能なもの(譲歩)の二種類に分類します。
相手の要求は、主張譲歩核心周辺という四つのマトリクスを使って、全て固めます。ここまでが交渉の最大の山場です。
このうち、周辺については相手方との雑談の中で沈静化をはかっていきます。
決定的なポイントになる項目(=核心)以外のところでポーズとして謝ることは全く問題ありません。

主張と譲歩の組み合わせによる交渉の基本パターン

次に、表に書き出すことで、交渉の全体像を相手と共有し、双方の「主張」と「譲歩可」を検討します。

交渉のうえでお互いの主張に対する攻防は次の三つのパターンしかありません。

相手の主張に対して
1 完全にその主張をのむ
2 相手の主張に対し仮想の利益(譲歩)を与えて、主張を取り下げさせる(のんだようにみせる)
3 相手の主張の不当性を追求し論破する

こちらの主張について
1 相手方に現実的な利益を与えてこちらの主張を認めさせる
2 相手方に仮想の利益を与えてこちらの主張を認めさせる
3 こちらの主張の正当性を納得させる

交渉で最も重視されるべきは、いずれも2です。とりわけ紛争を解決する手段としての交渉では、この攻防で大方の流れが決まります。ここでも、仮想の利益を相手に与えるのがコツであるため、如何にして仮想の利益を生み出すことができるかが重要となります。

ちなみに、1は手取り早いが、これができるようならそもそも苦労しません。3は絶対に避けるべきです。

相手をねじ伏せるデータの使い方

交渉においてデータが最も威力を発揮するのは、デメリットを裏付け、強調する場面です。
こちらの主張の妥当性や、相場観などを実証するためにいくらデータを用いても、効果は意外に少ないです。

ここでいうデメリットとは、前述のように「相手方がこちらの主張を飲まないことで生じるであろう不利益」のことです。
デメリットを回避するためには、こちらの主張を認めるべきとの流れを作り出します。

交渉での意思決定は一回限りにすべし

各論での議論は避け、交渉の全体像を見渡し、最終段階での一度きりの決断に持っていきましょう。
主張と譲歩が組み合わせにならないものについてだけ、相手方の主張をのむか、交渉を決裂させるかの意思決定を行います。

人を動かす三つの法則…脅し


三つの法則の一つですが、「脅し」という要素も非常に重要です。これは、あくまでも、合法的に、相手の一番嫌がることにつけ込む行為です。
相手のいちばんの弱みを察知し、そこにつけ込んでこそ、勝機が見えます。
例えば、取引の解消を恐れているならそれを武器に、親会社を恐れているなら、そこへのアプローチを匂わしましょう。

人を動かすお願いの仕方

これは、人を動かす三つの法則の最後「ひたすらお願いする」の部分となります。
相手方の価値観に訴え得る「お願い」だけが、その人を動かすことができます。

面子を大事にする相手なら、こちらも面子をかけていることをアピールするのです。子供がいるなら子供の話を使いましょう。

相手のキャラクターをよく見極めることがポイントです。ダメなら潔く諦めましょう。
交渉も万能な魔法ではないということです。予めこういったことを意識しておくのは重要です。

まとめ

今回は、『最後に思わずYESと言わせる最強の交渉術』橋本徹(日本文芸社)の中から実際に交渉で使えるテクニックをご紹介しました。
特に、仮想の利益を差し出すというのは、交渉術の根幹になるので覚えておきたいです。

自分が使う側としてして記事を書いていますが、予め知識として知っておけば、使われる側に立った時にも不利にならずに済みますよね!

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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